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インド紀行2『母なるガンガーに通る月の一本道とバラナシの迷路』

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雨季のバラナシへ来てしまった。
これは、最初からわかっていたこと。
でも、こんなに降るの!?
バケツを引っくり返したというよりも、水槽の中に落とされた気分。

とりあえず駅を出て、割と公的なインフォメーションにてバラナシの地図をもらう。
駅とガンガー(ガンジス河)は、約3キロ離れていて、歩けないこともないけれど、この雨だと、リクシャに乗ってゆくのが賢明。
いざ、リクシャーさがし。
しかし、リクシャーマンの話によると、私たちが泊まる宿は、この雨で、水浸しらしい。
2メートルも雨がとか。
インド人は、平気でこういう嘘をつく。
そうやって、自分の契約しているホテルへと案内をするのです。

だから、『浸水?2メートル?それでもいいから!あたし、泳げるし!とりあえず、つれてけ!』とごねたけれど、どーしても違うホテルに連れてゆきたいらしく、『ユーアー クレイジー』とか言われ、その場から離れた。
周りにいっぱい人が集まってくるし。
ケンカですよ、もう。

何人かのリクシャーに話しかけるも、みんな同じことを言う。

地図をくれたインフォメーションにきくと、なんと、本当らしい。
ガンガー方面は、浸水していて、歩けない状態とのこと。
インド人、ごめんなさい、疑って。

そして、ここで言われた一言に泣きそうになり、早くもボロボロな私の心。
『あんたは、リッチな国から来てるんだろ?こんなとこにいないで、さっさと違う街へ行け。』

リクシャーでリクシャーが思うがままのホテルに連れていってもらうことにした。
もう、どうにか、この駅を出たかった。
雨の中、オートリクシャーへ。
駅前の浸水地帯の水を切って走る。

1キロも走らずにホテル着。
優しい笑顔のホテルマン。つまり、高いホテルよ。

一泊いくらか聞くと、700ルピー。
1400円は高すぎる。
400~500ルピーが、私たちの旅の宿相場だ。

でも、外は相変わらず、大雨。
相方も私も、心がやられてた。

とりあえず、ここにチェックインすることにした。
水のシャワーしか出なかった。
ベッドに倒れ、気がつけば、1時間くらい寝てしまっていた。

そしたら、雨が止んでいた。
鳥が、ぴよぴよ、チュンチュンとか言っている。

雨がやんだのと、1時間の睡眠で、気持ちが変わった!
びしょ濡れだった私の心がすっかり、復活していた!

私は、ガンガーを見に来たのだ!

はるばる日本から!

このホテルに払った700ルピーは捨てたと考えて、予定通り、ガンガー方面へ行こう。

ただ、このホテルマンに何て伝えるか。

相方は、何も言わずに部屋に鍵を置いて出て行くと言った。
私は、何も言わないで出て行くことが嫌で、きちんと素直に気持ちを伝えたいと言った。
30分の話し合いが行われた。
一人旅じゃないが故の、この30分。
でも始まったばかりの旅、旅の相方とこんな小さな価値観の違いでさえ、きちんと話し合わないと、この先一週間が思いやられる。
結局、話し合いの結果、相方が折れてくれた。

さっそく、ホテルマンに素直に話。
最初、なかなか英語だけじゃ、気持ちが伝わらなくて、嫌な気持ちにさせてる気がした。
ただ、あなたのホテルは素敵だということと、私たちはガンガーを日本からわざわざ見に来たこと、時間がないこと。を伝え、最後は握手で送り出してくれた。

リクシャーまで手配して料金交渉までしてくれて、50ルピーで手をうってくれて、いざ、ガンガーへ。
たった二時間しか滞在しなかったホテルだったけれど、ホテルマンの対応に涙が出た。
700ルピー分の思い出は、たっぷり味わった。

さて、今乗ったサイクルリクシャーが、かなり怖い!
さっき駅から乗ったのは、エンジンがついてるオートリクシャ。
今、乗ってるのは、人力車の自転車バージョンのような形。

オートリクシャにぶつかりそうなのは、さながら、膝くらいまで浸水した街中を漕ぐのだ。
信号も車線もないガタガタ道をあり得ない数のリクシャが雑多に走る。
みんな、我こそは!と前へ右へ。
基本、走ってるときは、常にクラクションを鳴らしっぱなし。
うるさいんだ、これがまた。
日本じゃ、考えられないクラクションの嵐。

途中、牛にぶつかりそうにもなるし、子どもたちがハイタッチを求めてくる。
物乞いにもあう。
ディズニーシーの100倍、スリルあるよ。たぶん。。(ディズニー、10年くらい行ってない)

で、途中、ガンガー付近、浸水のためのリクシャの渋滞で、なかなか進まなくなったリクシャーに乗る私たちに、また売り込み。
また、ホテルへの呼び込みだ。
暇なので付き合う。

ちょうど私たちが行きたかった宿の名前を出したので、道案内をさせる。
でも、本当は、違うホテルに連れて行きたかったらしいが、とりあえず、私たちの宿へいけ!部屋を見てから、次のあなたが行きたいホテルへ行こうと言い、本命宿へ。彼には10ルピーのチップを渡し、逃げる。
呼びこみも使いよう。
彼がいなかったら、宿にたどり着かなかっただろう。

バラナシは、本気の迷路。
日産マーチも入らない細さの道だし、Googleストリートビューも、絶対できないだろうなあ。
本当に本当に、道がわからない。

さあ、チェックインして、部屋へ。
その宿は、中庭があって、中庭からガンガーが眺められる。
ガンガーとの初対面。(本当は、列車でガンガーの上を走ってきたのだけど。)
バラナシの命であり、インドの母なる大河でもあるガンガー。
チャイ色のガンガー。大きい。右から左へ流れ続けているということ以外は海のようだ。
このまちで、24時間を過ごす。

部屋もキレイ。
中庭で、ちょいと休む。

目の前を広がり流れるガンガーよ、なんて偉大なことよ。
ついに来たんだ、ガンガーへ。


宿の周りの迷路をブラブラ。
バラナシのまち、汚いです。本当に。本当に。本当に。本当に。そして、異臭。
何の臭いか、牛や馬のうんち、生ゴミ、人間の排泄、体臭、食べ物とお香。
人々は、そんな臭いと汚物が刷り込まれて、グチャグチャの路地に、
ベタリと座り、横になる人もいる。

1畳露店が、路地をより狭くする。
露店は、チャイ屋さん、果物屋さん、サモサ屋さん、献花屋さん、布屋さん、とりあえず、何でも一種類ずつ、店を持つイメージ。
果物でも、バナナだけを売る露店とグァバだけを売る露店など、一つに力を降り注いでいるバラナシの露店。

あと、狭い路地をなかなか進ませないのが、犬や聖なる牛。

こっちの犬は、みんな病気を持っているため、噛まれたら、即、病院行きだ。
日本だったら、かわいいー!と近寄る私も、さすがに近寄れない雰囲気を醸し出す荒れた皮膚を持つバラナシの犬。
普段は、死んだように寝てる犬も何かを拍子に、いきなり犬同士のケンカが始まる。
息を止めて、固まる私。

牛が道の真ん中にいたら、もう通れない。
手を上にあげて、カニ歩きで通る光景があちこちにある。
真ん中にいなくても、牛のシッポが、メトロノームのように、ゆっさゆっさと揺れているため、シッポがこないうちに、路を通る。

水を買って宿に帰った。

宿の中庭は、ご飯が食べられるようになっていて、カレーを一皿頼む。
カレー3種類とライスとチャパティ。
そして、ヨーグルトとマンゴープリン。
すごい、量。

しばし、夕凪のガンガーと月の出を見ながらバラナスの風を楽しむ。
夕焼けで、サーモンピンク色に染まるチャイ色ガンガー。
刻々と変わり続けるガンガー。
よく見ると、あんなに汚い水のガンガーも、夕焼け色に染まると、『なんて美しいんだろう、ガンガー』と、すっかり虜である。


宿の下にある、ミールガートでも、人が入れ替わり、ガンガーに用を済ましに来る。
ガートとは、バラナシに住む人々とガンガーをつなぐ場所で、岸辺から階段になって河水に没している堤のこと。沐浴する場所、ヒンドゥー教徒の火葬場となっているところもあり、巡礼の目指す所だ。
全部で、84のガートがあり、それぞれに名前がつけられている。


8時過ぎまでいたのではないだろうか。
完全に月だけが、空を独占している。
ガンガーに出来た月の道。

マサラが効いたマサラティーを飲みながら、月光浴。
100mほど上流の有名なガートから、宗教的な音楽が聞こえてきて、灯篭みたいなものを河に流している。
ガンガーに、点々と落とされる火のついた灯篭。
流れに沿って、灯篭が一列に流れる。
宗教音楽とガンガーをすべる灯篭、
そして、月。
いつまでも、言葉もなく眺めていた。


来て良かった。
どこにいても、いくらあっても、買えない気持ちを持つことができた。

水のシャワーを浴びて就寝。
明日の朝は早起きして、朝陽がガンガーに昇るのを見る予定。
雨季のバラナシよ、わかっているよね?
あたしには、朝陽をここで見るチャンスは明日しかないのだよ?

目を瞑っても、月の残像が在り続け、遠くから宗教音楽が流れ続けていた。


つづく、インド紀行3へ。
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by koyama516natsuki | 2011-08-21 14:57
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